長期修繕計画の重要性
25~30年程度の期間を想定した修繕周期と概算費用が決められます。
長期修繕計画は非常に重要なものですが、その認知度はまだまだ低いようです。
皆様のお住いのマンションではしっかりした計画書を作成、保管してありますか?
また、長期修繕計画は劣化進行や社会的環境の変化、新たな材料・工法の開発等の不確定な事項を含んでいますので、5年程度ごとに見直していくことも重要です。
それに伴い、修繕積立金の額が変動していくことも考慮することが必要です。
長期修繕計画作成によるメリット
- 修繕費用がいつ・どの程度必要か事前に把握出来る。
- 各年度の工事内容が把握出来る為、業者から(必要範囲の)
見積を取りやすい。 - 修繕費を改定する際に根拠を示せる為居住者の理解を得やすい。
- 必要な修繕内容、予算が把握出来る為、修繕積立金計画の変更の
根拠となり、検討しやすい。
長期修繕計画作成の流れ
- 1.資料確認(作成のための準備)
- 2.建物現況調査
- 3.長期修繕計画
- 4.ご提出
01資料確認(作成のための準備)
データ収集
修繕工事、長期修繕計画、建物調査等を計画する前に、竣工図をはじめ様々なデータの管理が計画的かつ経済的なマンション維持に繋がります。
竣工図書
一般的に写真のような製本がされているもので、各マンションに竣工時または、引渡し時に必ず現地(管理人室等)に保管されています。(建築・構造、設備、電気の計2~5種類)紛失や劣化に注意して保管してください。
修繕記録等
一度修繕を経験したマンションには、修繕工事完了報告書や工事内容(仕様)、見積書、各部位の保証期間がわかる文書等が保管されていると思われます。この記録は、次回修繕や長期修繕計画作成に必要なデータとなります。
既存の長期修繕計画書
当社で長期修繕計画をご提案する際に参考とさせていただきますので保管されている場合はご提供をお願いしています。
重要書類は電子データ化がおすすめ
上記で紹介した各データ(図面・資料等)は、印刷物で、大型のものが多いため、保管だけでも大変な上、年々劣化します。
特に図面は一度失うと、再作成に多大な費用が必要となるため、弊社では、大事なデータ(図面・資料等)の電子データ化をお勧めしています。
電子データ化することにより、膨大な資料をパソコンの画面で簡単に検索できるだけでなく、大きな資料も目的に合わせ、家庭用プリンター等でA4サイズ等に縮小印刷も可能となります。
02建物現況調査
直前に大規模修繕工事をしていない場合はより正確な計画書を作成するために、建物調査、設備調査等を行う必要があります。
事前調査
1.全戸アンケート調査
所有者の方や居住の方のストレス感や期待感を確実に抽出する為にアンケートを実施し、共同の利益のレベル感を確認します。
2.ヒアリング調査
理事会・委員会の皆様にヒアリング調査を実施し、不具合事例を把握します。
建物調査
1.共用部調査
屋上や共用部全般、立入可能な範囲を目視及び打診で確認し、劣化状況を把握します。
2.バルコニー調査
全戸アンケートで決定した住戸に立入調査実施し、劣化状況を把握します。
併せて居住者様にヒアリングを実施することで、幅広くデータを収集します。
設備調査
1.外観目視調査
外観劣化状況、配管経路、使用管材等を確認します。
2.配管内部の調査
内視鏡調査(内視鏡を配管内部へ挿入する調査)
サンプリング調査(抜管調査)
X線装置計測調査(レントゲンによる内面調査)
※調査内容はマンションの状態を考慮し、相談の上適切な⼿法を実施します。
03長期修繕計画の作成及びご提出
T.D.Sの長期修繕計画書は、国土交通省が定める作成ガイドラインに準拠しています。
長期修繕計画書の構成
弊社の長期修繕計画は次のような構成で作成しています。
建物・設備の概要把握
竣工図書・修繕記録等より建物の現況を把握します。
各年度修繕工事計画(工事項目、修繕周期)
各工事毎に修繕時期及び、修繕費を表にしたものです。各年度の工事内容や修繕費が把握できます。
修繕費積立計画表(資金計画)
現状の修繕積立費が今後の修繕計画の為に十分なものかを比較・検討した表です。
この表が現状の修繕費の見直しの検討材料となります。
各年度修繕工事計画(工事項目、修繕周期)
各工事の内訳明細書は、各部位別・工事別に仕様や工事単価等を明記し、計画書に添付します。
建築・設備(電気、給排水、EV等)別にまとめ、実際に工事を計画する際にも重要なデータとなります。